春のお彼岸
掲載日:2025.03.21

やっと、お彼岸の日までに漕ぎついたって、思う。
寒さもお彼岸までって言うでしょ。
まだ雪の中のお墓へは行かず、独りでお仏壇にお参りをしてお彼岸もすぎた。
せめて、今日だけでも夫や両親や友人、知人との在りし日の姿を思い起こそうと思った。
でも、無理しなくても夫や両親については一日たりとも忘れたことは無い。
何かにつけてその姿や顔の表情、言った言葉も蘇ってくる。
一番、心に辛く残っているのは姑の懇願する姿。
90歳過ぎて腸閉塞になって、よく判らないけど飲食が出来なくなり鼻から管で栄養をとっていた。
お米のご飯が食べたくて、ほんの一口でいいから食べさせて欲しいと私に懇願した。
あの時、ほんの一口、食べさせてやりたかった。
でも、食べたことで苦しんだ様子を見て知っていた。
私の父は、認知症になり介護施設に母と共に入所した。
全く欲もなく、自分の事業が上手くいっている時の話や息子の話をしている時だけ、にこにこしている人だった。
現実に戻れる会話は、その事だけ。
母は無口になってジッと見つめていた。何を考えていたのだろうと今も思う。
あんなに良く動いていた母だったのに、全てを諦めた人のようだった。
私も高齢者になって、今後の身の振り方も考えないわけでは無い。
施設の一部屋だけの生活は、きっと、耐えられないと思うから、このまま我が家でポックリと逝くことは出来ないだろうか…。
今まで、自分の老後の生活を切羽詰まった気持ちで考えたことは無かったけど、周りに介護を必要とする人たちが多くなってくるともう他人事ではなくなった。