柏餅
掲載日:2011.06.24
私の住む泉郷には、半夏生に柏餅を作ると言う伝統行事が、あった。
80歳近い先輩が、お嫁に来た頃にも、この柏餅を作ったというから、かなり昔から受け継がれてきた物だと思う。
私が嫁い来た時も、半夏生の日に併せて柏餅を作っていた。長い年月の間、姑から嫁へ受け継がれてきた。
長く続いてきたのも、援農に来ていた自衛隊員さんに振る舞うと意味のあったものだからだと思う。
農休日でもある半夏生の日は、村の運動会があり、各家々で作った柏餅を持ち寄って、みんなで頂きながら、甘い、堅いなどと言い合いながら楽しく頂いた。
当時、嫁さんだった私は、この柏餅を作る作業が、とても辛かった。
こんなもの、この忙しい時期に、身体が疲れている時に、どうして作るのだと反発していた。
柏の葉っぱを採ってくるのは舅、傍であれこれと指図されながら姑と沢山の柏餅を汗を流しながら作った。
姑は、運動会の日に娘たちが来る事もあって、いっそう気持ちが弾み楽しみにもしていた。そんな姑の気持ちが、今、やっと判る歳に私もなった。
姑との会話の数々、作る傍で騒ぐ子供たち、懐かしい光景が蘇ってきた。
今では、あれほど嫌っていたあの感情までが、愛おしくて懐かしい。
数々の思い出が蘇る柏餅。
伝統行事を復活させようと20年振りに来月早々に講習会を開催予定です。今日は、その予行練習でした。
(柏の葉っぱの香りも、全てが亡き姑との思い出に繋がってくる。)